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外国籍社員が増える職場の現状
グローバル化に伴い、システム開発や製造業をはじめ、多くの企業で外国籍社員が活躍するようになっています。
日本語能力試験で上級に合格している人でも、職場特有の「遠回しな言い方」や「空気を読む文化」に戸惑う場面は少なくありません。
企業にとっては、多様な人材が力を発揮できる環境を整えることが、競争力やSDGsへの取り組みにも直結します。そのための一つの方法が「やさしい日本語」です。
外国籍社員が直面するコミュニケーションの課題
遠回しな表現が理解できない
「検討しておきます」という言葉。日本人なら「たぶん実行しない」というニュアンスを感じ取りますが、外国籍社員には「やるのか、やらないのか」が伝わりません。
会議での結論が不明確
会議中の発言は理解できても、最後に「何が決まったのか」が曖昧なまま終わってしまうことがあります。その結果、外国籍社員は次に何をすべきかが分からず、不安を抱えてしまいます。
フィードバックでの誤解
上司が「もう少し工夫が必要かもしれませんね」と言うと、日本人社員は「改善が必要」と理解します。
しかし、外国籍社員は「悪くない評価」と受け取ってしまい、行動改善につながらないこともあります。
雑談や暗黙知に入れない
共通の言い回しや社内用語に馴染めず、ちょっとした雑談から孤立してしまうこともあります。
やさしい日本語で改善できること
ストレートに伝える
「検討します」ではなく「今回はやりません」「来週までに考えます」と具体的に言うことで、誤解がなくなります。
結論を明示する
会議の最後に「今日決まったことは〇〇です」とまとめると、参加者全員が同じ理解を共有できます。
フィードバックを具体化する
「もっとがんばってください」ではなく「レポートのこの部分を短くしてください」と伝えれば、改善点が明確になります。
情報を共有する
会議後に要点を短くまとめたメモを配布するだけで、理解のずれを防ぎ、仕事がスムーズに進みます。
導入事例と効果
- 社内会議で結論を明示
以前は、会議後に「結局どう決まったのか」が分からず、不安そうにしていた外国籍社員がいました。
会議の最後に「今日の決定事項」を一言まとめるようにしたところ、「安心して次の行動に移れる」と笑顔が見られるようになり、積極的に意見も出せるようになりました。 - フィードバックの具体化
上司が「もう少し工夫が必要」と曖昧に伝えたことで、外国籍社員は「評価は悪くなかった」と誤解し、改善につながらないことがありました。
その後、「このレポートを2ページ以内にしてください」と具体的に伝えるように変えた結果、「期待されていることがはっきりわかってうれしい」と前向きな反応が返ってきました。短期間で成果が向上し、上司との信頼関係も深まりました。 - 研修にやさしい日本語を導入
日本人社員が「伝わりにくい表現を工夫する」研修を受けたことで、チーム全体に「相手に合わせるのは失礼ではなく、思いやりだ」という認識が広がりました。
その結果、外国籍社員は「ここなら安心して働ける」と感じるようになり、以前は控えめだった発言も増えて、会議の雰囲気が明るくなりました。 - プロジェクトの遅延から改善
あるプロジェクトでは、「進め方をまた検討します」という日本語が「すぐ始める」という意味に誤解され、作業の順番がずれてしまったことがありました。納期に遅れそうになり、チーム全体が緊張する事態になりました。
その後、「今回はやりません」「来週もう一度考えます」といった具体的な言い方を徹底するようにしたところ、誤解がなくなり、外国籍社員からも「安心して仕事を進められる」と信頼を得ることができました。
まとめ
やさしい日本語は「日本語ができない人」のためだけではありません。
外国籍社員が多い職場ではもちろん、日本人社員同士の誤解を減らす効果もあります。
採用・面接から日常の業務、評価やフィードバックまで、職場のあらゆる場面で役立つ「伝わる日本語」を取り入れてみませんか。