観光で役立つやさしい日本語|訪日外国人への案内・接客

観光における「やさしい日本語」の必要性

インバウンド需要の回復により、日本各地で観光客が急増しています。観光案内所や店舗では英語対応や多言語翻訳サービスを整える取り組みが広がり、外国人旅行者への受け入れ体制は年々進化しています。

しかし、訪日外国人の多くは「せっかく日本に来たのだから、日本語を使ってみたい」という気持ちを持っています。
実際、世界141ヵ国・地域で 約379万人 が日本語を学んでおり(2021年・外務省調査)、学習者数は過去数十年で 30倍以上 に増加しています。

つまり観光の現場では、英語や多言語対応だけでなく、日本語を少しでも「わかる・使える」体験が求められているのです。やさしい日本語は、その実現をサポートする有効な手段といえます。


観光現場での課題

観光地や観光案内所、サービス業の現場では、次のような課題がよく見られます。

  • 英語や多言語対応に力を入れても、地域の外国人旅行者は必ずしも英語を得意としない
  • 地域の観光施設ではスタッフの高齢化が進み、英語対応が難しいケースも多い
  • 案内表示やパンフレットの日本語が複雑で、外国人には理解が難しい
  • 接客時に長すぎたり曖昧な表現を使うことで、誤解を招く
  • 体験プログラムで説明が難解になり、楽しさが半減してしまう

これらの課題を解決するのが「やさしい日本語」です。


やさしい日本語の活用シーン

1. 案内表示やパンフレット

  • 短く具体的な文にする(「順路に従ってお進みください」→「矢印のほうへ行ってください」)
  • 難しい漢字にはふりがなをつける
  • イラストやピクトグラムを組み合わせて伝える

2. 観光案内所や接客で

  • 「ご利用ください」→「使ってください」
  • 「不要不急の外出は控えてください」→「外に出ないでください」
  • ゆっくり、はっきり、必要なら繰り返して話す

3. 体験型観光プログラムで

  • 和食体験、伝統工芸体験などでやさしい日本語を使うことで、日本語を学ぶ楽しさが倍増
  • 日本語学習者にとっては「日本語を使えた」ことが満足度を高め、再訪意欲へとつながる

実際の導入事例

  • 観光案内所
    やさしい日本語を用いた接客を導入したところ、「安心して質問できた」との声が増え、外国人旅行者の利用率が向上しました。
  • 料理体験イベント
    レシピをやさしい日本語で作成し、外国人旅行者が「日本語で作り方を理解できた」と感動。
    日本人参加者からも「シンプルでわかりやすい」と好評でした。

まとめ

英語や多言語対応はもちろん大切ですが、それだけでは「日本に来た実感」を十分に味わえない旅行者も少なくありません。
やさしい日本語を取り入れることで、外国人旅行者にとっては「日本語を体験する楽しさ」が増え、日本人にとっても「誰にでも伝わる言葉」での案内が可能になります。

やさしい日本語は観光地の魅力を高めるだけでなく、リピーター獲得にもつながる大切なツールです。
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