国際交流イベントを阻む言葉の壁
国際交流イベントとは、地域や自治体、国際交流協会や市民団体が主催する、多文化共生のための交流行事です。
フェスティバル、料理教室、防災イベントなど、日本人と外国人が一緒に楽しむ場が全国で行われています。
しかし、言葉の壁があると「ただそこにいるだけ」で終わってしまい、交流が深まらないこともあります。
その解決策のひとつが「やさしい日本語」です。
国際交流イベントでの課題
英語対応の限界
多くのイベントでは、英語のチラシや英語通訳を用意しています。
ところが、地域に住む外国人の多くは英語ネイティブではありません。
そのため「英語対応がある=誰でも安心」にはならないのです。
多言語対応の難しさ
地域の外国人は、アジア、南米、ヨーロッパなど多様なバックグラウンドを持っています。
すべての言語に翻訳するのは現実的に不可能であり、準備やコストの面でも限界があります。
その他の課題
- 案内やポスターが難しい日本語で書かれている
- 当日の司会やアナウンスが早口で伝わらない
- ゲームやワークショップのルール説明が複雑すぎる
- 緊急時の呼びかけが伝わらない
こうした課題に共通しているのは「日本語の難しさ」です。
やさしい日本語の活用ポイント
1. イベント案内・広報で
- 長い文ではなく、短く区切った文で書く
- 難しい漢字にはふりがなをつける
- イラストやピクトグラムを活用して視覚的に伝える
2. 当日の進行・アナウンスで
- 「不要不急の外出は控えてください」ではなく「外に出ないでください」
- 短く・はっきり・ゆっくり話す
- 重要なことは繰り返す
3. ゲームやワークショップで
- ルールは一度に全部説明せず、ステップごとに区切る
- 実際にやって見せる「デモンストレーション」で理解を助ける
4. 緊急時の呼びかけで
- 「避難してください」より「逃げてください」
- 放送や掲示をあらかじめ「やさしい日本語」で用意しておく
導入事例
- 国際交流協会のフェスティバル
日本語アナウンスを「やさしい日本語」に変えたところ、外国人参加者から「わかりやすい」「安心できた」という声が増え、参加率も向上しました。 - 地域の料理イベント
レシピを「やさしい日本語」で作成したら、外国人だけでなく日本人参加者からも「読みやすくて良い」と好評でした。
難しい言葉を減らすことは、結果的に誰にとっても親切になります。
まとめ
英語や多言語対応は大切ですが、それだけでは十分ではありません。
「やさしい日本語」は、言葉の壁を越えて参加者同士が理解し合うための有効なツールです。
国際交流イベントを「楽しむ場」から「理解し合える場」へ。
やさしい日本語を取り入れることで、より多くの人が安心して参加できるイベントに変わります。
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